「ママはダメ!」
1月のある日、私は近くのスーパーへ行った。病気療養中の私が行くのだから、すいている時間帯だ。
鮮魚のコーナーの手前に、幼稚園にも行っていないだろうと思われる、小さな女の子がいた。
ママとはぐれたのかと思ったが、大きな目には不安そうな色はなかった。手には子供用の買い物カゴを持っている。
困っているのなら声をかけようと、それとなくみていると、白い紙をしっかりと握っているのに、気がついた。ああ、きっと買い物メモだ。
「なにか、さがしてるの?」きいてみると、「ちくわ」。はっきりと返ってきた。お利口さんだ。「ちくわはねー、あ、あっちにあるね」。一緒に行って、ふと顔を上げると、少し離れたところでこちらを向いてお辞儀をしている女性がいた。多分女の子のママだ。私も会釈した。
そこでやっと思い出した。昨夜、おつかい番組を放送していたっけ。やってみたかったんだね(^^)
女の子は小さな手でちくわを掴むと、「ありがとう」も言わずに行ってしまった。そう、まだ「ありがとうって言うんだよ」とも教えてもらっていない、小さな小さな女の子なのだ。人生初の大冒険だ!
そのまま買い物を続けるとかわいい声が聞こえてきた。「ママは来ちゃダメ!」。あらー、ママ見つかってしまったのね(^○^)叱られてる。
しばらく歩いて行くと、その場面に出くわした。「ママは来ないでって言ってるでしょ!!!!!」
ママに正面から向かい、全身で叫んでいた。その姿をみて雄ライオンが浮かんできてしまった。たくましい。
よくこんなにしっかり育てたねぇ、ママ。頑張ってるねママ(⌒‐⌒)